この論文は、営業秘密を取引先に開示する際の秘密保持契約の重要性と共に、秘密保持契約を締結したとしても非公知性を満たしていない情報は秘密保持義務の対象とならない場合があることを裁判例を参照して説明しています。
技術情報は取引先に開示する場合もあり、さらに非公知性が問われる可能性も営業情報に比べて高いため、本論文に記載のような事項は技術情報を営業秘密とする場合に重要なことであると考えます。
ところで、私が今までに寄稿した論文は以下の通りです。
・「取引先への営業秘密開示と秘密保持契約」パテント誌 Vol.73 No.12, p83-p95 (2020)
・「技術情報が有する効果に基づく裁判所の営業秘密性判断」知財管理 Vol.70 No.2, p159-p169 (2020)・「プログラムの営業秘密性に対する裁判所の判断」パテント Vol.72 No.8, p117-p126 (2019)
・「リバースエンジニアリングによる営業秘密の非公知性判断と自社製品の営業秘密管理の考察」知財管理 Vol.68 No.12, p1670-p1680 (2018)
・「技術情報に係る営業秘密に対する秘密管理性の認定について」パテント Vol.71 No.6, p74-p83 (2018)
・「営業秘密における有用性と非公知性について」パテント Vol.70 No.4, p112-p122 (2017)
上記6本の論文によって技術情報を営業秘密とする場合の秘密管理性、有用性、非公知性に関する留意点はほぼ網羅したのではないかと思います。
次はこれらのまとめて書籍化したいと思っています。
書籍化についてはしばらく前から考えており多少は進めていますが、やはり大変ですね。
完全に手が止まっています。
一方、最近ブログでも書いている知財戦略・知財戦術について、これは論文としてまとめたいと考えています。こちらのほうは、営業秘密を加味した知財戦略であり、いわゆる三位一体をどのように実現するかという具体例の一つになり得ると考えています。
最近は営業秘密の三要件(秘密管理性、有用性、非公知性)だけではビジネス展開は難しいと考え始めており、知財戦略も絡めると興味を持つ人も増えるのではないかと思っています。果たしてどうなることやら。
弁理士による営業秘密関連情報の発信