営業秘密と似たような言葉として、企業秘密やノウハウがあるかと思います。
営業秘密は、秘密管理性、有用性、非公知性を満たす情報とのように、法的(不競法2条6項)にもその定義が明確になっています。
一方、企業秘密、ノウハウは法的にはその定義が明確になっていないと思います。
企業秘密は、営業秘密の上位概念とでもいうべき言葉でしょうか?
おそらく、企業が秘密としたい情報なのでしょうが、秘密管理性、有用性、非公知性を満たしているとは限らない情報も含まれると思います。
企業秘密は営業秘密に近い概念かと思われますが、「企業秘密=営業秘密」ではありません。
ノウハウは、ウィキペディアにもその項目がありますが、定義があいまいです。
企業によってもその使い方が異なると思われます。
ノウハウの中には秘密管理されているものもあれば、秘密管理されておらず、敢えて開示しているものもあるでしょう。一方、開示していないノウハウ、すなわち非公知性を有するのノウハウは企業が開示しないのであるから有用性を有している可能性が高く、秘密管理さえすれば営業秘密となるものでしょう。
ちなみに、私は、ノウハウという言葉を、特許明細書に記載すべきではない下位概念として用いることもあります。
例えば、拒絶された場合にその内容で補正しても進歩性の要件を満たさないような事項、グラフの縦軸及び横軸の値や、数値限定にも使えないような数値範囲等を個人的にはノウハウと呼ぶことがあります。
より具体的には、装置を構成する各部品のサイズ、その装置の動作に関する物理量、制御パラメータ、混合物の重量比等、これらの数値が他社に知られると、特許明細書に記載の技術をより簡易に再現できるものを、私はノウハウという場合があります。
そして、私の経験というか感覚では、特許出願を前提としたクライアントとの発明相談の場において、これは「ノウハウでしょうから明細書に記載することはやめましょう」となり、実際に明細書に記載しなかった「ノウハウ」がその後クライアント先で適切に管理されていないのではないかと思われます。
当然、「ノウハウ」とした情報の質にもよりますが、この「ノウハウ」はおそらく、発明者のパソコンやサーバのどこかに埋もれている可能性が高いと思います。
これでは、「ノウハウ」は営業秘密にはなり得ていない可能性が高く、「ノウハウ」が持ち出されても企業は文句は言えません。
さらには、特許出願をせずに、自社内でノウハウとされた技術に関しては、特許事務所に対して発明相談も行われないため、どのように管理されているか知る由もありません。
このように、「営業秘密」、「企業秘密」、「ノウハウ」は、各々意味合いが異なるものであり、これらの言葉を正しく使い分ける必要があると思います。
ただし、「企業秘密」は“秘密”と言っているために、営業秘密である可能性が高いとも思われます。
一方、「ノウハウ」は必ずしも秘密管理されているとは限りません。「ノウハウ」をどのように管理するのか、これを課題とするべき企業は多いのではないでしょうか。
<営業秘密関連ニュース>
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