2017年6月21日水曜日

イチゴ品種の韓国への流出

日本農業新聞に6月20日付けで「イチゴ品種 韓国に流出 損失5年で220億円 農水省試算」との記事がありました。
このような話は度々聞く話ですね。
東芝の半導体製造技術が韓国のSKハイニックスに流出したり、新日鉄の鋼板製造技術が韓国のポスコに流出したり・・・。

この記事の中では、「栃木県の「とちおとめ」や農家が開発した「レッドパール」「章姫」などが無断持ち出しなどで韓国に流出し、」とあります。
無断持ち出しって・・・、苗や種でしょうか。普通に窃盗ですよね。
それに、これこそ営業秘密として管理されるべきものではないでしょうか。

なお、顧客情報や技術情報等のデータのみならず、このような苗や種も営業秘密の対象となる考えられます。
例えば、東京地裁平成22年4月28日判決(平成18年(ワ)第29160号)では、苗や種でないものの、コエンザイムQ10の生産菌を営業秘密として認めた判例があります。
また、不正競争防止法では、平成27年改正において「日本国外において使用する目的で、営業秘密を取得した者」に対しては、「十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金」(二十一条3項)とされています。一方で、「日本国外において使用する目的」という要件がない場合には、「十年以下の懲役若しくは二千万円以下の罰金」(二十一条1項)とされており、国外で使用する目的で営業秘密を漏えいさせる場合の方がより重い罪とされています。
この法目的は、まさに、海外へ営業秘密が漏えいすることを防止することにあります。

記事にあるように、品種登録も手の一つのなのでしょうが、営業秘密の漏えいに関して法整備が進んでいるわけで、自分の技術を守ろうとするのであれば、それなりの対応が必要ではないでしょうか?
例えば、海外からの研修生であっても、秘密保持契約を行い、また、日本の法律における営業秘密の漏えいについても教育を行い、まずは漏えいしないようにするべきかと思います(そもそもたエ種や苗の持ち出しは窃盗ですが・・・)。