2017年6月19日月曜日

特許庁における知的財産分科会

先日特許庁の「お知らせ」において「特許庁における知的財産分科会」の第10回議事録を掲載したことが告知されていました。

ざっと斜め読みし、営業秘密やデータの利活用についてどんな発言がされているのか見てみました。

データの保護に関しては、原状において企業は営業秘密として管理している場合が多いようです(p.11)
さらに、p.11には「営業秘密としての保護ではないのだけれども、ある一定の条件のもとで管理しているものについて、例えば、コピーされたり、模写、複製でばらまかれたりすることによって、権利の無い方々が取得あるいは使用することを止めてほしい、そしてさらに差止を行いたいといった御意見をいただいてきたのが、この検討を始めるに当たっての出発です。 」
との内容が記載されており、やはり「営業秘密」として管理されていないデータであっても、「管理」されているデータに関しては保護する方向に検討しているようですね。
ところで「管理」の定義はどうなるのでしょうか?
考え方によっては、サーバ内に記憶されているデータは全てが「管理」されていると言えるかもしれません。一応、誰かがフォルダの指定等を行いデータを記憶させているのですからね。

また、データに含まれるものとしてp.12には「 データと書かせていただきましたけれども、人間が目や耳で感知することができないもの、例えば、位置情報であるとか、電気的な変化であるとかを暗号化などしたデータの流通も今後増えてくると思いますので、その辺に対しても保護対象として追加してはいかがかといった検討を行っております。」
との記載があり、データは非常に広範囲なものになりそうですね。




さらに、この議事録には日本弁理士会会長が以下のように発言しています(p.37)。
「このほか、オープン・クローズ戦略、それから営業秘密のほうも弁理士にしっかり対応できるように計画して、研修を強化していこうと思っています。
 そのほか、ここで入っていますデータの保護については、これから具体的な法整備に入るということになると思いますが、弁理士も積極的にこの保護に関与していこうと思っております。
 それについて、この法整備を進めるとともに、できれば弁理士が関与しやすい法環境を整備していただけたら非常にありがたいなと思っております。 」

ちなみに、不正競争防止法の営業秘密における弁理士の業務内容は、「技術上の秘密関連に限る」との限定が入っております。(参考:日本弁理士会「不正競争防止法における弁理士の業務」
そうすると、「データ」を不正競争防止法の保護範囲とした場合には、このデータ(例えばビッグデータ)は「技術上の秘密関連」になるのでしょうか?
例えば、膨大な数におよぶ電車の乗降者数のビッグデータ等は、単なる数値の羅列に過ぎないでしょう。そうすると、このビッグデータを使用するソフトウェア等は「技術」でしょうけれど、「ビッグデータ」そのものは技術といえるのでしょうか?
いわゆる非弁行為とならずに「弁理士」としてどこまで関与してよいのか?確かに、データの保護に付随して、弁理士に対する法環境の整備は必要だと思います。