2017年6月11日日曜日

第四次産業革命を視野に入れた不正競争防止法に関する検討

ビッグデータに対する独占禁止法の指針で思い出しましたが、少し前に以下のようなものが
経済産業省から発表されていました。

「第四次産業革命を視野に入れた不正競争防止法に関する検討 中間とりまとめ」

第四次産業革命とは何ぞや、ということは置いといて、 資料1を見ると、「データ」を不正競争防止法で保護しようという流れがあるようです。

色々な案があるようですが、最も核となるものとして、以下のようなものを不正競争防止法に追加することが検討されているようですね。

「不正な手段によりデータを取得する行為や、不正な手段により取得されたデータを使用・提供する行為を、不正競争行為とする。」

営業秘密に関する規定と似通っていますが、営業秘密とは別に新たに2条1項に追加されるのでしょうか。
ここでいうデータとは、「価値あるデータ」とされているようですが、具体的には何でしょうか?
また、この案で保護対象となるものは、「営業秘密として管理されていない情報」のようです。
確かに、「営業秘密として管理されている情報」は、既に不競法で保護対象とされているわけですからね。
そうなると、保護対象とする「データ」がなんであるかがどのように規定されるのかが非常に興味深いです。
現代において、あらゆる情報がデジタルデータとして管理されています。 どのような「データ」=情報でも保護対象となるのであれば、「営業秘密」としてデータ(情報)を管理する必要はなくなるのでしょうか?

そのような解釈は乱暴すぎるので、「営業秘密」として管理されているデータ(情報)と改正案で保護対象とされる「データ」との違いが明確化されるはずです。

「データ」は、所謂ビッグデータを想定しているのでしょうか?
ビッグデータは、時々刻々と変化していると思われるので、ビッグデータを「営業秘密」として特定することは少々難しいような気もします。
ビッグデータが、もし持ち出されたとしても、ビッグデータが時々刻々と変化していたら、持ち出したビッグデータの特定をどうやるのか?何らかの方法で、時々刻々と変化しているビッグデータをリアルタイムで不正にダウンロードし続けていたら、どうなるのか?
「営業秘密」として管理されてる秘密情報は、時々刻々と変化し続けるデータは対象として想定されていない気もします。

そうすると、そのようなデータを保護する規定を新設する意義はやはり大きいのではないでしょうか。

ちなみに、第四次産業革命に対する知財ということで、経済産業省は「第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会」を行い、このまとめも行っていたようです。