2017年6月4日日曜日

営業秘密の漏えいに関する近年の刑事罰

 営業秘密の漏えいに関して刑事罰が適用された近年の主な事例を挙げます。


皆さんは、この数は多いと思いますか?それとも少ないと思いますか?また、実際に逮捕者が出ていること、そして懲役刑となっていることに驚きますか?

ベネッセ個人情報流出事件はニュースもにぎわせたので、事件そのものは皆さんご存知かと思いますが、高裁判決で執行猶予無しで懲役2年6ヶ月の判決となっています。東芝NAND型フラッシュメモリ製造技術事件も有名な事件で、執行猶予無しで懲役5年の判決となっています。懲役刑に対しては執行猶予が付く場合が多いですが、社会的な影響が大きい事件は、このように執行猶予が付かない場合もあります。

そして、少し前までは、個人情報等を転売目的で取得、漏えいさせた事件が多いですが、近年では、転職に伴いそれまで在籍していた会社の情報を持ち出す事例が多いようです。もしかすると、このブログを見ている人でも、過去にこのようなことを行った人は居るのではないでしょうか?

営業秘密の漏えいに対する刑事罰は、十年以下の懲役、二千万円以下の罰金です。なお、窃盗罪は十年以下の懲役、五十万円以下の罰金であり、営業秘密の漏えいは窃盗罪より重い罪となっています。
また、営業秘密を日本国外において使用する目的の場合は、十年以下の懲役、三千万円以下の罰金となり、罰金の上限が上がっています。このように、営業秘密を外国企業に漏えいさせたら、さらに重い罪とされています。
そして、営業秘密の漏えいという犯罪行為により生じ、犯罪行為により得た財産等は没収されます。すなわち、営業秘密を漏えいさせて、例え億単位の高額で売り渡したとしても刑事罰が適用されたら、それは国によって没収されます。要するに、没収規定は、刑事罰を受けることを覚悟で営業秘密を漏えいすること、やり得の防止を目的としています。

以上のように、営業秘密の漏えいは、かなり重い犯罪として扱われ、例えば、転職先で有利に仕事を運ぼうとするために転職元の情報を持ち出すと、とんでもないことになる可能性があります。